このページの本文へ移動します。

KINDAI UNIVERSITY

貴重書・コレクション

常設展示

2006年

『看護の体制』

Nightingale, Florence 1820-1910, 「Organization of nursing. An account of the Liverpool nurses' training school, its foundation progress, and operation in hospital, district, and private nursing」

著者 ナイチンゲール
出版地 リバプール
出版年 1865年

1860年、ナイチンゲールはロンドンの聖トーマス病院にナイチンゲール看護学校を設立し、 「看護の宗教からの分離・看護婦自身による看護教育」を提唱、看護を女性の誇り高き 職業として、科学に基づいた近代看護を確立した。また、公衆衛生知識の啓蒙にも尽力した。 クリミア戦争(1853‐56年)における傷病兵への献身的看護と野戦病院の看護体制の改善は非常 に有名である。

本書はリバプール看護学校の看護体制に関するもので、序文と注釈がナイチンゲール によるものである。

『聖書』(ラテン語)

Biblia sacra veteris et novi testamenti, secondum editionem vulgatam. Basel:Thomas Gwarin, 1578

出版地 バーセル
出版年 1578年

15世紀半ば、ドイツのヨハネス・グーテンベルク(1400頃-1468)が発明した活版印刷機は、書物を大量生産できる画期的な 大発明であり、ルネサンスの文化的基盤を作った。なかでも聖書の印刷は、支配階級層しか読むことのできなかった聖書を一般大衆 に広く普及する原動力となり、宗教改革運動を促す一要因となった。
本書は、16世紀にスイスで出版された旧約聖書と新約聖書が1冊に合本されたもので、トビーアス・シュティンマー(1539-1584)による木版の挿絵や地図が多数掲載されている。扉絵には上段にモーセとその 兄アロン、下段に4人の使徒であるマタイ, マルコ, ルカ, ヨハネが描かれている。

『天文学指針:天地二球用法』

Blaeu, Willem Janszoon 1571-1638, 「Gvilielmi Blaev Institvtio astronomica de usu globorum & sphaerarum caelestium ac terrestrium」

著者 ブラウ
出版地 アムステルダム
出版年 1655年

17世紀に入り、ヨーロッパ最大の海外貿易国として黄金時代を迎えたオランダでは、地図・海図の需要が増え、多くの地図製作者 が絢爛豪華な地図を出版するようになった。
著者のブラウは、当時のアムステルダムの代表的な地図出版者ブラウ一族の創立者。デンマークの高名な天文学者ティコ・ブラーエに 天文学に関する器械の原理や技術などを学んだ彼は、細部まで描ける銅板彫刻を用いた地図や様々な本の出版のほか、天球儀、地球儀 の製作も行った。本書は天動説と地動説を紹介したものである。

日本では、江戸時代中期の1774(安永3)年に、オランダ通詞の本木良永が、著者の書物(1661年刊)を訳した『天地二球用法』で、初めてコペルニクスの地動説を紹介した。

『八景』

山田菊 1897-1975, 藤田嗣治 1886-1968, Les huit renommees」par Kikou Yamata avec 51 dessins inedits de Foujita

著者 キク・ヤマタ
藤田嗣治画
出版地 パリ
出版年 1927年

キク・ヤマタは1897(明治30)年3月15日フランスのリヨンで生まれる。家族は当時日本領事だった父親山田忠澄とリヨンの庶民階層の出である母親マルグリット、そして妹の花、弟の順太であった。1908(明治41)年父親の本省勤務のため一家は東京に移った。キク・ヤマタは日本に戻ってからも一貫してフランス語を使った。聖心女子学院内の語学学校で英語を習得したキクは、卒業してすぐ米国AP通信社東京支局長の秘書の仕事を得る。その後1923(大正12)年キクが26歳の時母親とともにパリに移り住んだ。
キクは多数の作家や詩人たちが集まる文学サロンの常連としてすぐに受入られ、そこでジッドやヴァレリーに出会い、ヴァレリーが序文を寄せた「Sur de levres Japonaises」(日本人の唇の上に)を1924(大正13)年に出版した。次に小説「Masako」(マサコ)を1925(大正14)年に出版し、書評で賞賛を浴びた。

本書「Les huit renommees」(日本八景)は1927(昭和2)年に出版された。本書は日本の風物詩という内容の文章に藤田嗣治がスケッチを描いたいわば2人の共作ともいえる作品である。

『艶なる宴』

Verlaine, Paul Marie : Fetes Galantes. With numerous illustrations and miniatures by hand colour and gilt originales, by Frank C. Medworth on vellum. Binding by Sangorski and Sutcliffe. London : Sangorski, n. d.

著者 ヴェルレーヌ
(サンゴルスキー装幀)
出版地 ロンドン

フランス象徴派の代表的詩人ヴェルレーヌの第二詩集。「月のひかり」Clair de lune, 「感傷的対話」Colloque sentimental など多くの著名な詩を含み、ヴァトーの絵に興を得て幻想的な18世紀の歓楽と憂愁の世界を歌っている。本書はその詩をヴェラム紙に手描きしたもので、全頁にわたって金箔を含む彩色文様で飾られ、美しい細密画を配した贅沢な作品である。装幀は総赤モロッコ革に宝石をちりばめた極美本で、その美しさは本文に勝るとも劣らない傑作である。

『京洛名所絵巻』紙本極彩色細密画

出版年 江戸中期頃写

三十三間堂(蓮華王院)」の通し矢の図から始まり、方広寺大仏殿、清水の舞台を中心とした清水寺、八坂塔、祇園社が描かれている。参詣や花見に行き交う人々の姿から、春の賑わいを感じとることができる。

表紙は網代地に松唐草と鳳凰模様のある織物装。見返しや天地の雲・紙背に金箔を散らした美しい絵巻である。

  • 上の画像は八坂社の部分。

展示の足跡