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KINDAI UNIVERSITY

貴重書・コレクション

常設展示

2016年

『長崎圡産』

著者 磯野信春
出版地 長崎
出版年 弘化4(1847)年刊

本書は、鎖国下の日本で、唯一海外との交易が認められた出島を持つ長崎の土産本である。 清・蘭関係の文化についても触れており、当時の庶民とは大きく異なる中国やオランダの生活様式の絵図が、詳細な解説とともに 収録されている。著者である磯野信春(文斎)は、江戸錦絵の手法を用いる長崎版画家として名高く、また版元である大和屋を経営し、 多くの書物を刊行した。

  • 土産本とは、土地の名勝、年中行事、風俗などを絵図中心にまとめたもので、その名のとおり旅先の土産として、あるいは、 名所を紹介する観光ガイドとして、高い人気があった。

日本の童話(英訳)ちりめん本

著者 ラフカディオ・ハーン
出版地 東京
出版年 1897-1925年

ちりめん本とは、一面に細かなしぼを出した絹織物に似せた和紙に印刷され製本されたもので、 明治初期に来日した外国人への土産としておもに英文で出版された。欧米には少ない「生物」「物」を擬人化したおとぎ話など日本の童話や 民話を題材にしている。また、浮世絵に培われた職人の精巧な印刷技術の木版刷りで多色カラーの挿絵をふんだんにつかっている。 これらの絵本は外国人が強い関心を示し、海外の出版社から注文があったほどであり、現在の古書市場でも珍本として名高い。

<上段左から>
THE BOY WHO DREW CATS(らくがき小坊主)
THE OLD WOMAN WHO LOST HER DUMPLING(だんごをなくしたおばあさん)
THE GOBLIN SPIDER(お化けぐも)
CHIN-CHIN KOBAKAMA(ちんちん小袴)
<下段>
THE FOUNTAIN OF YOUTH(若返りの泉)

『シャーロック・ホームズの思い出』

Doyle, Arthur Conan, Sir (1859-1930) / Paget, Sidney (1861-1908)
The memoirs of Sherlock Holmes. London, 1894

著者 サー・アーサー・コナン・ドイル
シドニー・パジェット 挿絵
出版地 ロンドン
出版年 1894年

19世紀末のイギリスを舞台に、名探偵シャーロック・ホームズが活躍する第2短編集。 本書の最終話「最後の冒険」で一旦シリーズを終了したが、読者の熱烈な支持により再開した。1927年に発表された「最後の挨拶」まで、 全部で60の作品からなる世界的人気シリーズとなった。

挿絵を描いたシドニー・パジェットは、インバネス・コートに鹿打ち帽姿のホームズ像を生み出した人物と考えられており、 後世の映画などの二次作品におけるホームズ解釈に多大な影響を与えた。

『ケルムスコット・プレス設立趣意書』(525部限定)

William Morris, 1834-1896

著者 ウイリアム・モリス
出版地 ハマスミス:ケルムスコット・プレス
出版年 1898年

ケルムスコット・プレスは、詩人、工芸家、社会主義活動家として19世紀後半に活躍したイギリスのウイリアム・モリス (William Morris, 1834-1896)が晩年に、ロンドンの郊外ハマスミスに「理想の書物」の実現をめざして設立したプライベート・プレスです。
本書は、ウイリアム・モリスの「理想の書物」についての考えが書かれた『ケルムスコット・プレス設立趣意書』に、モリスの秘書コッカレルによる 『ケルムスコット・プレス小史』と『ケルムスコット・プレス刊本の解題入りリスト』があわせて付けられています。モリスは同プレス刊本において「なによりも美しく読みやすく心の糧となる書物」を追求しました。
口絵のデザインは、1860年代に計画のみに終わった『地上楽園』特装版用のバーン=ジョーンズの絵にロバート・カタースン=スミス(Robert Catterson-Smith, 1853-?)に よって修正が加えられたものが使われています。
8折判、ゴールデン活字

『伊勢参宮名所図会』 5巻6冊・附2巻2冊

出版年 寛政9(1797)年

本書は、江戸時代の伊勢参宮の道中の様子や名所旧跡、伊勢神宮の祭祀、神事について挿絵入りで案内したものである。 作者は明確ではないが、蔀関月(しとみかんげつ)編・画、秋里籬島(あきさとりとう)撰と考えられている。参宮の多様な経路を、京都と桑名からとの代表的な 二経路に集約している。
挿絵も多くお伊勢参りの旅への誘いとなり、無事に戻れば旅の思い出をたどり楽しむこともできるなど、読者の評判も良く、再刊もおこなわれた。
伊勢神宮は平安時代まで私的な参拝は禁止されていたが、室町期にはいると御師(おんし)と呼ばれる神職が信仰拡大、財源確保などをはかるようになり、 伊勢信仰の普及に伴い一般の参宮が行われるようになった。
信者の組織化等もおこなわれ、御師が往来手形の発行や参詣、旅の利便をはかるようになり、「伊勢講」を組んでの参宮が盛んになった。「御蔭参」(おかげまいり) といわれる集団参宮などもたびたび起った。

『一歩前進、二歩後退』

Lenin, Vladimir Ilʹich, 1870-1924
Шагъ впередъ, два шага назадъ : кризисъ въ нашей Партіи
Женева : Типографія партіи,
1904.

著者 レーニン
出版地 ジュネーヴ
出版年 1904年

ウラジミル・イリチー・レーニンは、ロシアの革命家・政治家。学生時代から革命運動に参加、流刑・亡命生活を経て、1917年、二月革命後帰国。ボリシェビキ党(ソ連共産党)を率いてロシア十月革命を指導、世界で初めての社会主義国家(ソビエト連邦)を樹立し、ソ連邦建国の父と称される。マルクス主義をマルクス死後の新しい歴史的条件に適用し発展させ、資本主義の帝国主義段階でのプロレタリア独裁への道を理論化したレーニンの思想および理論は、国際的革命運動に大きな影響を与えた。
本書は、副題の「我が党内の危機」が示すように、レーニン派のボリシェビキとマトフ派のメンシェビキの分裂、その後の闘争について分析した書である。民族、農業、独裁等の問題と、特に組織問題を取り上げ、メンシェビキのグループ主義的方針に対し、労働者階級を前衛とする組織部隊としての、“新しい型の党”に関する理論をつくりあげ、プロレタリア前衛党の組織原則に関する古典的著作とされている。

『東海道名所記』 全6巻6冊

著者 浅井了意

『東海道名所記』は、万治4(1661)年頃に書かれた仮名草子のひとつである。主人公の楽阿弥という僧が、四国遍路の後、熊野から海路江戸へ向かい、江戸見物の途中で大坂へ帰る男と道連れになり、東海道を気ままな旅をしながら、京に上る道中記である。東海道の名所、旧跡、歴史、名物などを語り、楽阿弥の狂歌や発句、滑稽談などをまじえながら街道筋の実情を紹介する、道中記としての実用性を踏まえている。さらに、主人公と連れの男の二人連れを設定していることや、結末で「…顔も見しらず、行きがたもしらず」と夢見仕立てに物語を終えるなど、読物として話の展開を図ろうとしている。また、挿絵には必ず二人の姿を登場させるなど、名所図会とは大いに異なり、道中案内を兼ねた面白く楽しい読物として書かれている。
浅井了意は、仮名草子の代表的な作者である。『東海道名所記』のほかに、滑稽物『浮世物語』、怪奇物『御伽碑子(おとぎぼうこ)』などを著わした。

展示の足跡