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KINDAI UNIVERSITY

貴重書・コレクション

常設展示

2018年

『クリスマス・ブックス』5冊

Christmas Books.
Charles Dickens, 1812-1870.

クリスマス・ブックス

著者 ディケンズ
出版地 ロンドン
出版年 1843年-1848年

チャールズ・ディケンズは、ヴィクトリア朝時代を代表するイギリスの小説家。『オリバー・ツイスト』、『二都物語』など多くの作品があるが、中でも『クリスマス・キャロル』を始めとするクリスマスの物語は多くの人に愛された。
クリスマスの1週間前に書き下ろし作品として、1843年から1848年にかけて、ほぼ毎年刊行された『クリスマス・キャロル』、『鐘の音』、『炉辺のこおろぎ』、『人生の戦い』、『憑かれた男』の5作品は、1852年に『クリスマス・ブックス』と題して1冊にまとめられている。また、ディケンズは1850年から1867年までクリスマスに関する20作品を執筆している。これらの作品により、ディケンズの名とクリスマスは分かちがたいものとなっている。

『クリスマス・キャロル』 ロンドン 1843年
A Christmas carol, in prose : being a ghost story of Christmas.
London: Chapman & Hall, 1843.

『鐘の音』 ロンドン 1845年
The chimes : a goblin story of some bells that rang an old year out and a new year in.
London: Chapman & Hall, 1845.

『炉辺のこおろぎ』 ロンドン 1846年
The cricket on the hearth : a fairy tale of home.
London: Bradbury & Evans, 1846.

『人生の戦い』 ロンドン 1846年
The battle of life : a love story.
London: Bradbury & Evans, 1846.

『憑かれた男』 ロンドン 1848年
The haunted man and the ghost's bargain.
London: Bradbury & Evans, 1848.

『紙漉重寳記』

紙漉重寳記

著者 國東治兵衛
出版地 大阪
出版年 大正14(1925)年

 『紙漉重宝記』は、石見国(島根県)の国東治兵衛(くにさき じへえ)が記した製紙の技術書で、和紙の製造工程を表情豊かな職人像とともに詳細に図解している。挿絵は、名所図絵の画工、丹羽桃渓による。冒頭では、慶雲・和銅(704-715年)の頃、石見国の守護、柿本人麻呂が民に紙漉きを教えたと記されている。和紙文献としては最も早く海外に知られ、英・独・仏語による翻訳本が確認されている。日本国内でも、しばしば翻刻、複製されている。本書は、寛政10(1798)年刊本を大正14(1925)年に製紙印刷研鑽會が複製したもの。

『地球全圖略説』

地球全圖略説

著者 司馬江漢
出版地 東都
出版年 寛政5(1793)年

 司馬江漢(1747-1818)は、江戸時代後期の洋風画家、思想家。蘭学者平賀源内の影響と、秋田蘭画の小田野直武の指導を受けて、油彩画の技法を応用した西洋画法による日本風景画を多数描いた。また、日本における銅板画の創始者としても著名である。 本書は、寛政4(1792)年に刊行された銅版画地図『銅版地球全図』の解説書として刊行された。東西両半球略図のほか、日食と月食、天動説と地動説などを図解入りで説明し、さらに、世界各地の気候・産物などを略記している。ほかにも、寛政7(1795)年の『和蘭天説』、文化5(1808)年の『刻白爾天文図解』など、複数の著作で西洋の天文学を紹介しており、当時一般向けの蘭学書として広く読まれた。

『ハムレット』

ハムレット

著者 ウィリアム・シェイクスピア
出版地 パリ
出版年 1913年

 本書は、シェイクスピアの四大悲劇のひとつ『ハムレット』(1602年頃初演、全5幕)を、1913年にフランスのジャーナリスト、戯曲作家のジョルジュ・デュバルが翻訳したもので、挿絵はフランスの版画製作者ジョルジュ・ブリュイエによる。
 本書は、挿絵のエッチング原版が表紙にはめ込まれている250部限定の大変珍しい装丁。原版挿絵は、第3幕第3場のハムレットが叔父であるクローディアス王を刺殺しようとして躊躇する場面である。

『大君の都』 全2巻

Alcock,Rutherford, 1809-1897 The Capital of the Tycoon : a narrative of a three years' residence in Japan London: Longman, 1863.

大君の都

著者 ラザフォード・オールコック
出版地 ロンドン
出版年 1863年

 ラザフォード・オールコックは、1859(安政6)年に来日した初代駐日英国公使。著作には多くの日本関係のものがあるが、滞日3年間の体験を記した『大君の都』は、当時の日本を知るための貴重な文献としての評価が高い。「大君(Tycoon)」とは徳川将軍のことで、幕末に用いられた称号である。 本書のなかには、オールコックが、外国人として初めて富士山に登頂した様子も詳細に記されている。カラーを含む石版図版のほか、挿絵が多数収録されており、その多くが著者自身によって描かれている。

『イエロー・ブック』 第1-5巻

Beardsley, Aubrey 1872-1898(illust.)  The Yellow Book : an illustrated quarterly
London: Elkin Mathews & John Lane  Vol.1 (Apr. 1894) - Vol.13 (Apr. 1897).

イエロー・ブック

著者 ビアズリー他挿絵
出版地 ロンドン
出版年 1894-1895年

 『イエロー・ブック』は、1894年から1897年までイギリスで発行された季刊文芸・美術雑誌である。ヘンリー・ハーランドなどが文芸主幹を、オーブリー・ビアズリーが美術主幹をつとめ、佳品の小説・イラストなどを掲載した。黄色の厚紙に黒一色で描いたビアズリーの奇抜かつ斬新な表紙は大いに反響をよび、デカダン(退廃)派を象徴する雑誌として脚光をあびた。
 1894年は、「ビアズリーの時代」と評されるほどビアズリーの名前が当時の一般大衆にも一躍注目されることとなった。しかし、翌年には、オスカー・ワイルドが男色罪で逮捕された事により、ビアズリーは同誌から追放されてしまう。第5巻の裏表紙を最後に彼の作品は消え、以降芸術的精彩を失った『イエロー・ブック』は、13巻で終刊となった。

『北越雪譜』

北越雪譜

著者 鈴木牧之撰 山東京山編
丁子屋平兵衛等刊
出版年 天保七(1836)年 初編上中下三巻、
天保十三(1842)年 二編一~四巻

 本書は、著者の鈴木牧之(1770-1842)が、故郷の越後・塩沢の雪にまつわる風俗・習慣・伝説・言語・産業等について書き記したものである。

 初編巻之上では、冒頭部分で雪の生成過程について分析し、顕微鏡で雪の結晶を観察・記録した図が掲載されている。その他、吹雪・雪崩・洪水などの自然現象、神事や風物詩、雪の中で使う道具などの挿絵も多く含まれる。

 牧之は、雪と共に生きる故郷の生活を世の人々に知らせたいと思い、面識のあった山東京伝や滝沢馬琴らに出版に向けて協力を依頼したが、なかなか進まなかった。牧之60歳の頃に、山東京山(京伝の弟)より出版協力の申し出があり、計画から数十年の時を経て、ようやく『北越雪譜』が刊行されるに至った。


『藝州嚴島圖會』 全10巻

藝州嚴島圖會

著者 岡田清編 田中芳樹校 頼杏坪(らいきょうへい)等訂
山野峻峯斎(やまのしゅんぽうさい)等画
出版地 大坂
出版年 天保13(1842)年

 本書の図版を主に描いた山野峻峯斎(1784-1852)は、広島藩の御用絵師として活躍した。編者の岡田清(?-1878)は、安芸広島藩士の国学者で、私塾で漢字、和学を教えたのち、東京に出て神事や陵墓の管轄を行う神祇官として一時奉職した。
 本書は、『厳島図会』5巻と『厳島宝物図会』5巻からなる厳島神庫蔵版である。
『厳島図会』は、広島県宮島町にある厳島神社周辺を描いた名所図会で、厳島神社の建物だけでなく、現在も演じられている神事の「舞楽」なども収録されている。『厳島宝物図会』では現在は国宝に指定されている平家納経など、厳島神社に伝来する宝物が細部の模様に至るまで詳細に描かれている。

展示の足跡