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KINDAI UNIVERSITY

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2019年

2019.1. 7 1月貴重書常設展示(1月31日まで)

『伊勢参宮名所図会』 5巻6冊・付2巻2冊

著者 蔀関月(しとみかんげつ) 編・画
秋里籬島(あきさとりとう) 撰
出版地 大坂
出版年 寛政9(1797)年

 本書は、江戸時代の伊勢参宮の道中の様子や名所旧跡、伊勢神宮の祭祀、神事について挿絵入りで案内したものである。作者は明確ではないが、蔀関月編・画、秋里籬島撰と考えられている。参宮の多様な経路を、京都と桑名からとの代表的な二経路に集約している。
 巻1、巻2では東海道・伊勢別街道をたどり京都三条橋から関宿を経て、伊勢街道との合流点である一身田(いしんでん)までの道中を記している。巻3では東海道・伊勢街道をたどり桑名から伊勢街道に入る日永(ひなが)を経て小俣までを、巻4では伊勢街道を進み宮川から五十鈴(いすず)川まで、巻5では内宮、二見浦(ふたみうら)など周辺と伊勢神宮の祭祀などについて、附録では近江国内の名所旧跡等について記している。挿絵も多く、お伊勢参りの旅への誘いとなり、無事に戻れば旅の思い出をたどり楽しむこともできるなど、読者の評判も良く、再刊もおこなわれた。

 伊勢神宮は平安時代まで私的な参拝は禁止されていたが、室町期にはいると「御師(おんし)」と呼ばれる神職が信仰拡大、財源確保などをはかるようになり、伊勢信仰の普及に伴い一般の参宮が行われるようになった。
 社会的、経済的に安定した江戸時代には、街道筋の整備と安全性も確保され、庶民は「寺社詣で」と称した物見遊山の旅を楽しむようになった。信者の組織化等もおこなわれ、御師が往来手形の発行や参詣、旅の利便をはかるようになり、「伊勢講」を組んでの参宮が盛んになった。「御蔭参(おかげまいり)」といわれる集団参宮などもたびたび起った。