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KINDAI UNIVERSITY

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2019年

2019.12. 1 12月貴重書常設展示(12月27日まで)

『主のたとえ話』 [パピエ・マシェ]

〔illuminated by Henry Noel Humphreys〕(1810-1879)
Parables of our Lord..
London : Longman, Brown, Green and Longmans, 184-.

出版地 ロンドン
出版年 1840年代

 本書は、新約聖書のマタイ、ルカの福音書からイエス・キリストが語ったとされる放蕩息子や、良きサマリア人、種蒔く人などのたとえ話を集め、クロモリトグラフ(多色石版)で華麗に装飾された本である。装飾を行ったハンフリーズ(1810-1879)はバーミンガムの生まれで、本の挿絵画家として、特に博物学関連の本で成功した。1840年代のイギリス出版界では、主に聖書からとった文を中世風の装飾で飾ったプレゼント用の本が売り出され人気を博したが、ハンフリーズはこのような彩色された本の先駆者の一人であった。
 装丁にも工夫が凝らされており、パピエ・マシェ(紙張り子)で作られ、中世の木製の表紙のような印象を与えている。表紙は9つの部分に分かれており、中心に種蒔く人、周りに穀物と茨が絡まっている。角にはそれぞれ4福音書の作者を象徴するマタイの天使、マルコのライオン、ルカの牛、そしてヨハネの鷲がかたどられている。中心の左右の部分は良い木と悪い木のたとえ話をあらわしており、左の良い木には実がなり、右の悪い木は根元に斧がささっている。