Myライブラリー

常設展示

2025年

秋里籬嶌著 『都林泉名勝図会』5巻6冊


出版地  皇都
出版年  寛政11(1799)年

『都林泉名勝図会』は、京都の庭園・景勝地を図と解説で紹介した、江戸時代の地誌的ガイドブックである。
著者の秋里籬嶌は、安永9(1780)年刊の『都名所図会』で人気を博し、その後『大和名所図会』『東海道名所図会』などを次々と刊行した。本書はそれらの中でも、庭園に焦点を当てた名所図会として特に珍しく、当時の京都観光において庭園を訪れることが人気であったことを示している。
挿絵は佐久間草偃・西村中和・奥文鳴の3名が担当しており、現地での取材をもとに当時の景観を丁寧に描写している。



『怪談』


Kwaidan: Stories and Studies of Strange Things.
Lafcadio Hearn, 1850-1904
London: Kegan Paul, Trench, Trubner, 1904


著者  ラフカディオ・ハーン
出版地  ロンドン
出版年  1904年

ラフカディオ・ハーンは、ギリシア生まれの随筆家、批評家。日本に関心を寄せ、1890(明治23)年に来日、島根県の松江中学に赴任し、英語教師を務めた。日本人の小泉セツと結婚し、その後1896(明治29)年に帰化して「小泉八雲」と改名した。八雲の名は、『古事記』の「八雲立つ」の一節からつけられた。 本書は、『耳なし芳一』や『轆轤(ろくろ)首』、『雪女』など日本の怪談を妻のセツらに朗読させ英語で再話したものと、八雲が強く興味を持った昆虫のうち蝶、蚊、蟻に関する3編が『虫の研究』として収録されている。



中島広足 『不知火考』


出版地  長崎、大坂
出版年  天保6(1835)年序

旧暦の7月末~8月初頭の深夜に八代海や有明海の海上に多数の光が現れる怪火現象「不知火 (しらぬい)」について調査・考察した書物。著者の中島広足が自ら不知火を観察した体験をもとに、見聞や諸説を集めて考察している。中島広足は、江戸時代後期の地方知識人として、民間伝承・自然観察・理学的思考を融合させた人物で、その姿勢は、柳田国男に代表される近代民俗学の成立を先取りする存在ともいえる。


『天工開物』全3巻9冊


著者  (明)宋應星 ; (日本)江田益英校訂
出版地  大坂
出版年  明和8(1771)年

『天工開物』は、中国・明代末期(17世紀)の官僚、宋應星(そう おうせい)によって著された産業技術書。当時の中国におけるさまざまな技術や工芸を18の分野に分け、図入りでわかりやすく解説している。火薬や武器の項目には、当時中国にやって来たイエズス会宣教師を通じて伝えられたヨーロッパ式の製法も取り入れられている。
江戸時代初期に日本にも伝わり、多くの知識人に読まれた。発明家平賀源内もそのひとりで、「サトウキビしぼりの図」などを自著『物類品隲(ぶつるいひんしつ)』(全6巻)で引用したとされ、中国の技術を日本の実践に応用しようとした。 本書は、江戸時代中期の学者・蔵書家である木村蒹葭堂(きむら けんかどう)の所蔵本に、備前国(現在の岡山県)出身の儒者江田益英(えだ ますひで)が校訂を加え出版された最初の和刻本。


『アントニオ・ガウディ』


Ráfols, José 1889-1965
Antonio Gaudi.

著者  ラフォルス
出版地  バルセロナ
出版年  1929年

ラフォルスは、スペインの建築家、美術研究家。本書は、サグラダファミリア聖堂の設計などで知られる建築家アントニオ・ガウディ(1852-1926)についての最初の研究書である。ガウディの直弟子であった著者は、ガウディについての挿話や晩年の言葉を交えて伝記を記し、巻末にはガウディ文献目録を列挙している。 1928年にカタロニア語版が、1929年にスペイン語版が刊行された。本書は、スペイン語版である。



山東京伝撰・画 『竒妙圖彙(ずい)』


出版地  東都
出版者  須原屋市兵衛
出版年  享和3(1803)年

『奇妙図彙』は、人間の姿、形を様々な文字に見立てた文字絵、身近な道具を使って全く別のものを描いた遊び絵を集めた本である。寺子屋の増加により識字率が向上した江戸時代、庶民の日常の娯楽としても、文字絵は広く普及していた。
山東京伝は18歳で浮世絵師・北尾政演としてデビューし、20歳頃からは黄表紙と呼ばれる絵入り本の執筆を始めた。須原屋市兵衛や蔦屋重三郎、鶴屋喜右衛門といった江戸の名だたる版元とタッグを組み、戯作界の第一線で活躍した。『奇妙図彙』などの滑稽本の他にも、洒落本、読本、合巻など様々なジャンルで多くの作品を残し、その影響は十返舎一九、曲亭馬琴、為永春水らにも及んでいる。


『イエロー・ブック』 Vol.1(Apr. 1894)- Vol.4(Jan. 1895)


Beardsley, Aubrey 1872-1898(Cover Design)
The Yellow Book : an illustrated quarterly

カバーデザイン  オーブリー・ビアズリー
出版地  ロンドン, ボストン
出版年  1894-1895年

『イエロー・ブック』は、1894年から1897年までイギリスで発行された季刊文芸・美術雑誌。ヘンリー・ハーランドなどが文芸主幹を、オーブリー・ビアズリーが美術主幹をつとめ、佳品の小説・イラストなどを掲載した。黄色の厚紙に黒一色で描いたビアズリーの奇抜かつ斬新な表紙は大いに反響をよび、デカダン(退廃)派を象徴する雑誌として脚光を浴びました。
※今回の展示では、ビアズリーが表紙画や本文イラストを描いた初期の号(Vol.1-4)を週替わりで展示します。



『フルヴォイェのミサ典礼書』ファクシミリ版


出版地  グラーツ
出版年  1973年

『フルヴォイェのミサ典礼書』は、中世のボスニアの貴族でボスニア大公のフルヴォイェ・ヴクチッチ・フルヴァティニッチがクロアチア南部の都市スプリト公になった後の1404年頃にフルヴォイェのために制作されたグラゴル文字で書かれた装飾写本。クロアチアのグラゴル文学の中でも最も重要なテキストとされる。96点のカラフルで美しく豪華な細密画(ミニアテュール)と約380点の想像力豊かな装飾を施したイニシャルは、東洋、西洋、ビザンツの各様式が混ざり合ったもので、文献学、歴史学、典礼学の研究にとどまらず、芸術文化の歴史にとっても希少で重要な傑作といえる。
オスマン帝国によるボスニア征服の過程でトルコ人によって略奪され、現在はトルコの首都イスタンブールにあるトプカプ宮殿博物館で保管されている。 本書は、1973年にオーストリアのグラーツで製作されたファクシミリ版。


宿屋飯盛撰 ; 北尾政演畫 『百人一首古今狂歌袋』


出版地  東都
出版者  蔦屋重三郎
出版年  天明7(1787)年

『百人一首古今狂歌袋』は、江戸時代初期から天明期頃までの狂歌集から優れた歌を百首選び、狂歌一首ごとに彩色摺の肖像を収めた絵本である。本書は荒木田守武、石田未得などの古人だけでなく、四方赤良(太田南畝)、朱楽菅江(山崎景貫)など当時活躍していた狂歌師の肖像も収載され、大衆の関心をおおいに集めた。
版元である江戸後期の出版業者の蔦屋重三郎は、本屋「蔦屋耕書堂」を構え、安永から寛政中期の出版業における隆盛の一翼を担った。蔦屋は本書の刊行以降も、狂歌と美しい浮世絵による「狂歌絵本」という新しい分野を開拓した。
選者の宿屋飯盛(やどやのめしもり)は、国学者である石川雅望の狂歌名。挿絵を描いた北尾政演は、江戸後期の戯作者である山東京伝の浮世絵師名で、蔦屋重三郎とともに洒落本などを出版した。